歯並び矯正、アプリで管理
2020年07月01日
インビザライン、通院少なく
マウスピースを使った歯列矯正を手掛けるインビザライン・ジャパン(東京・品川)は、スマートフオンアプリを活用した治療サービスを始める。歯並びがどう変わるかを3Dデータにして、歯科医師と患者が目で見て分かる治療計画を作成。進捗状況を医師が遠隔で確認し、次の治療に進めるようにする。新型コロナウイルスの影響で頻繁な外出を控える人が増える中、デジタル技術で通院の手間を減らし、歯科医院の患者獲得も後押しする。
7月から始める新サービスは2種類のスマホアプリを用いる。治療開始前に使う「インビザライン・バーチャル・アポイントメント」は、治療スケジュールなどについて歯科医師とビデオ通話で相談し予約ができる。もう1つの「インビザライン・バーチャル・ケア」は治療が予定通り進んでいるか、ビデオ通話で歯科医師が確認できる。同社システムの特徴は3Dデータを活用して治療計画を立てることだ。初期状態から理想的な歯列に至るまでをコンピューター上で試算する。各段階でマウスピースを用意し、最大0・2ミリメートルずつ歯を動かす。進捗に応じて次の段階に進み、目標に近づける。歯科医師と患者が3Dデータで視覚的に治療状況を共有できる利点がある。インビザライン・ジャパンはマウスピース型歯列矯正の世界最大手である米アライン・テクノロジーの日本子会社。
口腔(こうくう)内スキャナーの「iTero(アイテロ)エレメント5D」と、そのデータを生かすマウスピース矯正治療「インビザラインシステム」が主要製品だ。
同社の松本貴嗣社長は「歯列データの取得から治療計画の立案、マウスピースの作成までデジタルで完結できる。アプリサービスの開始で、通院の必要性も最小限に減らせる」と話す。
同社システムの世界の累計患者数は800万人を超える。潜在的な患者数はアジア太平洋地域で約1億人いるとみられる。日本は有望な市場と位置づけており、ウェブとリアルを合わせて歯科医師向
けのイベントを継続して開催している。
インビザラインのマウスピースは社名の由来にもなっている「インビジブル(目に見えない)」を売り物にしている。「矯正中も患者さんが(歯を見せられる)いい笑顔ができるようにサポートしたい」
(松本社長)
歯列矯正でマウスピース型は15%、85%はワイヤで行う従来方式だ。
同社は若者らが親しみやすいアプリサービスでマウスピース型歯列矯正を始めやすい環境を整え、新たなユーザーを取り込む考えだ。
©日本経済新聞