再生角膜、口内粘膜から作製
2020年10月20日
CO MET01
富士フィルム子会社のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)は、視力低下などを引き起こす「角膜上皮幹細胞疲弊症」の治療向けに、患者自身の口内の粘膜細胞から培養した厚生労働省に申請した。角膜と細胞の性質が似ている口内の組織を使い、両目の幹細胞が欠損して角膜を培養できない患者でも治療を可能にする。
再生医療製品は開発名「CO MET01」で欠損した角膜に移植して再建する。移植後に拒絶反応が出ないよう、患者自身の組織を使う。
組織を採ってから培養し、移植するまで一か月ほど要する。
角膜上皮幹細胞疲弊症は、角膜が濁って視力低下や目の痛みなどが発症する疾患。先天性のものと。目に薬品などが触れて幹細胞が傷つく後天性のものがある。患者は国内で年間500人程度と推定されるという。
CO MET01は3月、対象となる患者数が国内で5万人未満の疾患で使用価値が高いなどとされる「希少疾病用再生医療等製品」として指定を受けた。
同社は5月、同じく角膜上皮幹細胞疲弊症の治療向けに、患者自身の細胞を使った細胞シート「ネピック」を発売した。
ただ、原材料となる角膜の幹細胞が両目で広範囲に欠損すると培養できなくなる課題があった。
CO MET01は角膜が大部分欠損している患者向けに使う。
大阪大学の西田幸二教授が開発した細胞シートの作製・移植技術を活用した。販売は眼科医療機器メーカーのニデック(愛知県蒲郡市)が担当する。